呼吸機能検査

当院では呼吸機能検査にフィンランドのメディクロ社製のSpirostar DXを使用しています。
これはPCをベースにした大変使いやすい装置で、特に私はカエルのフレッディが気に入っています。


これは、子供でも楽しく(大人はもちろんのこと)呼吸機能検査ができるように工夫されたもので、息を思いっきり吐くとフレッディがジャンプします。そして検査が上手くいくと、フレッディは隣のスイレンまで飛んで無事に着地しますが、もし途中で息を吸ってしまったり呼気が不十分だとフレッディは池に落ちてしまいます。


呼吸機能検査では左の図に示すような曲線が描かれます。これをフローボリュームカーブと言います。縦軸は気流の早さを示しており、正の方向は息を吐き出す方向、負の方向は息を吸い込む方向です。横軸は肺からはき出された空気の量を表しており、右に行くほど肺から息を吐き出した状態です。一本の曲線が一回の検査を表しており、この図では4回分の検査が重ね書きされています。

気管支喘息の呼吸機能

ここに示しているのは実際の気管支喘息患者さんのフローボリュームカーブです。気管拡張薬吸入前後での比較です。
青い二本の線は気管拡張薬吸入前、赤い二本の線は気管支拡張薬吸入して15分後に測定したものです。
気管支喘息では気管支拡張薬を吸入した後ではフローが改善していることが分かります。これは、気管支喘息の気流閉塞には可逆性があるためで、気管支喘息の特徴的所見です。


慢性閉塞性肺疾患の呼吸機能

次に示しているのは慢性閉塞性肺疾患(COPD)のフローボリュームカーブです。やはり気管支拡張薬吸入前後での比較です。
青い二本の線が気管支拡張薬吸入前、赤い二本の線が吸入して15分後に測定したものです。
慢性閉塞性肺疾患では気管支喘息と異なり、気流閉塞に可逆性がほとんどないため、気管支拡張薬を吸入してもフローが改善していません。


気管支喘息とCOPDはどちらも咳や痰が出て、ぜーぜーして息が苦しくなる病気です。一見すると同じような病気に見えてしまいますが、その原因は全く異なり、完全に別の病気です。症状だけからは正しい診断が下せないこともありますので、きちんと呼吸機能検査をして診断を確定する必要があります。